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【官公庁・地方自治体のAI活用事例6選】ごみ分別AIチャットボット、職員業務効率化、保育所入所選考AIまで 導入効果を徹底解説

公開日 2025/10/7

最終更新日 2025/10/7

AI活用

B2B AI
投稿者B2B AI

官公庁・地方自治体では、AI(人工知能)の導入により住民サービスの向上と行政業務の効率化が実現されています。横浜市のごみ分別AIチャットボット、横須賀市のChatGPT全庁導入、デジタル庁の生成AI環境「源内」、さいたま市の保育所入所選考AIまで、多くの先進自治体が具体的な成果を上げています。本記事では、日本の官公庁・地方自治体がAIを活用して実際に成果を得た6つの事例を、4つの活用領域に分けてご紹介します。住民サービス向上、職員業務効率化、観光・インバウンド対応、政策立案・ガイドライン策定まで、各自治体の取り組みと効果を詳しく解説していきます。

目次

1. 住民サービス向上に活用した事例

この章では、AI技術を活用して住民との接点を革新し、24時間365日対応可能な住民サービスを実現した事例を紹介します。AIチャットボット・画像認識・多言語対応により、従来の電話やメール対応では実現できなかった利便性の高いサービス提供が可能になっています。2017年以降、多くの自治体で導入が進み、コールセンター業務の効率化と住民満足度向上の両立を実現しています。

事例1: 横浜市がAIチャットボットでごみ分別案内を24時間対応にした事例

出典:
NTTドコモ「横浜市とチャットボットを利用した『イーオのごみ分別案内』の実証実験を開始」(2017年3月1日)
note「神奈川県横浜市|AIチャットボットでごみ分別を案内、コールセンターのコストが100分の1へ」
AWS「AWS 導入事例:横浜市」
自治体名横浜市
導入システムイーオのごみ分別案内(AIチャットボット、画像認識機能)
導入時期・規模2017年3月実証実験開始、同年4月本格実施、平成29年度216万件利用
導入前の課題年末や引越しシーズンの問い合わせ急増により職員負荷が増大
導入後の効果コールセンターコストを100分の1に削減、24時間365日対応を実現

横浜市は2017年3月に、NTTドコモと共同でAIチャットボット「イーオのごみ分別案内」の実証実験を開始し、同年4月から本格実施しました。このシステムは、ごみと資源の分別方法や粗大ごみの処理手数料等に関する住民の質問に、チャット形式で24時間365日自動回答します。

システムの特徴と効果:

  • 開発期間はおおむね4カ月、NTTドコモの「Repl-AI(レプルエーアイ)」を使用
  • 平成29年度は216万件の利用があり、住民サービスの質が大幅に向上
  • コールセンターにかかるランニングコストが100分の1へ削減することに成功
  • 年末や引越しシーズンなど繁忙期の職員負荷を大幅に軽減
  • 2019年9月には画像認識機能を追加し、粗大ごみの写真から種類と処理手数料を自動判定

従来は電話での問い合わせ対応が中心でしたが、年末や引越しシーズンには問い合わせが急増し、対応する職員の負荷が非常に高くなっていました。AIチャットボットの導入により、住民はいつでも手軽にごみ分別の情報を得られるようになり、職員は付加価値の高い業務に集中できるようになりました。

特筆すべきは、2019年に導入された画像認識機能です。住民がスマートフォンで撮影した粗大ごみの写真を送信すると、AI(Amazon SageMaker)がごみの種類と粗大ごみ処理手数料を自動応答します。これにより、「これは粗大ごみか可燃ごみか」といった判断が難しいケースにも、視覚的に対応できるようになりました。

横浜市のこの取り組みは、2016年8月に公民連携の事業提案を受け付ける「共創フロント」を通じてNTTドコモから提案を受けたことがきっかけでした。民間企業の技術力と自治体のニーズをマッチングさせる仕組みが、先進的なAI導入を可能にした好例と言えます。

事例2: さいたま市がAIマッチングで保育所入所選考を数秒で実現した事例

出典:
富士通「さいたま市 様」
富士通「最適な保育所入所選考を実現するAIを用いたマッチング技術を開発」(2017年8月30日)
AIsmiley「自治体と保護者の負担軽減!AIを活用した保育園マッチングサービスとは?」
自治体名さいたま市
導入システムAIを用いた保育所入所選考マッチングシステム(富士通・九州大学開発)
導入時期・規模2017年実証実験、約8,000人の児童を311施設に割り当て
導入前の課題20~30名の職員が延べ約1,500時間かけて入所選考を実施
導入後の効果数秒で選考完了、人手による選考とほぼ100%合致する結果を実現

さいたま市は2017年に、富士通と九州大学が開発したAIマッチング技術により、約8,000人の児童の保育所入所選考をわずか数秒で実現しました。従来は20~30名の職員が延べ約1,500時間かけて行っていた複雑な選考業務が、AI導入により劇的に効率化されました。

システムの特徴と効果:

  • 7,959人の児童を311施設に割り当てる複雑なマッチング処理を数秒で完了
  • きょうだい入所時の「入所タイミング・入所施設・年齢・希望順位」を考慮した独自の複雑な入所選考に対応
  • 人手による入所選考とほぼ100%合致する結果を実現
  • 自治体職員の選考業務負荷が大幅に改善され、入所申請者への決定通知の早期発信が可能に
  • 2018年11月より「FUJITSU 公共ソリューション MICJET MISALIO 保育所AI入所選考」として製品化

保育所入所選考は、申請者の就労状況・世帯構成・希望施設などの条件を考慮しながら、きょうだいの同時入所などの複雑な要件も満たす必要があり、組み合わせの数が膨大になります。さいたま市では約8,000人が第5希望まで出した場合、理論上は5の8000乗という天文学的な組み合わせが発生します。

AIマッチングシステムは、この膨大な組み合わせの中から最適な割り当てを高速に算出します。九州大学のマッチング理論に基づくアルゴリズムと富士通のAI技術「FUJITSU Human Centric AI Zinrai」を組み合わせることで、自治体独自の複雑なルールにも柔軟に対応できるようになりました。

この成功を受けて、富士通は2018年11月に自治体職員向け保育業務支援ソフトウェアとして製品化し、全国の自治体への展開を開始しています。港区では「延べ500時間の手作業が5分で済む」ようになるなど、他の自治体でも同様の効果が報告されています。

2. 職員業務効率化に活用した事例

この章では、AI技術を活用して自治体職員の業務効率化を実現し、生産性向上と働き方改革を同時に達成した事例を紹介します。生成AI・ChatGPT・業務支援AIにより、文書作成・情報検索・データ分析などの定型業務を大幅に効率化し、職員がより創造的な業務に注力できる環境を実現しています。2023年以降、先進自治体が積極的に生成AIを導入し、年間数万時間の業務時間削減を達成しています。

事例1: 横須賀市がChatGPT全庁導入で年間2万時間以上の業務削減を実現した事例

出典:
横須賀市「自治体初!横須賀市役所でChatGPTの全庁的な活用実証を開始」(2023年4月18日)
横須賀市「ChatGPTの全庁的な活用実証の結果報告と今後の展開」(2023年6月5日)
ダイヤモンド・オンライン「ChatGPTで横須賀市役所が『2万時間以上』の時短に成功!」
自治体名横須賀市
導入システムChatGPT(LoGo Chatと連携)
導入時期・規模2023年4月20日全庁導入、全職員約3,800名が利用可能
導入前の課題文書作成・情報検索・データ分析などの定型業務に多大な時間を要していた
導入後の効果年間推計22,700時間の業務削減、約半数の職員が利用し80%以上が効率化を実感

横須賀市は2023年4月20日、自治体として全国初となるChatGPTの全庁的な導入を開始しました。全職員約3,800名が利用可能な環境を整備し、「生成AI開国の地」として先進的な取り組みを展開しています。導入から約1カ月で約1,900名(約半数)の職員が利用し、80%以上が業務効率化を実感しています。

システムの特徴と効果:

  • 年間推計22,700時間の業務削減を達成(2023年6月時点の推計)
  • 約1,900名の職員が利用し、80%以上が「業務効率化につながった」と回答
  • 文書作成・要約・校正・情報検索・アイデア生成など多様な用途で活用
  • 国民健康保険業務でデータ照合時間が2時間から10分に短縮された事例も
  • TrustBank提供の「LoGo Chat」と連携し、入力情報の二次利用を防止してセキュリティを確保

横須賀市では、THE GUILD代表の深津貴之氏をAI戦略アドバイザーに任命し、専門的な研修を実施しました。また、職員向けに月刊誌「ChatGPT通信」を発行し、活用ノウハウを共有しています。2023年11月には「ChatGPT活用コンテスト」を開催し、52件の応募がありました。

特筆すべきは、セキュリティ対策を徹底している点です。ChatGPT API機能を自治体向けビジネスチャットツール「LoGo Chat」に統合することで、入力情報が二次利用されない仕組みを構築しています。機密情報や個人情報を入力しないよう職員への教育も徹底しています。

横須賀市の成功事例は全国の自治体に大きな影響を与えており、2024年1月には全国の自治体・企業向けに「横須賀生成AI合宿」を2日間にわたって開催しました。また、全国22自治体が参加するポータルサイト「自治体AI活用マガジン」を通じて、ノウハウを積極的に提供しています。

横須賀市の上地克明市長は「新しい技術を恐れるのではなく、積極的に活用し、市民サービスの向上につなげていく」という姿勢を示しており、「生成AI開国の地」としてイノベーションを推進しています。

事例2: デジタル庁が生成AI環境「源内」で職員の8割が業務効率化を実感した事例

出典:
デジタル庁「デジタル庁職員による生成AIの利用実績」(2025年8月29日)
Ledge.ai「デジタル庁、生成AI環境『源内』の3か月実績を公表──職員の8割が利用、1人平均70回」
デジタル庁「令和6年度 生成AIの業務利用に関する技術検証」
省庁名デジタル庁
導入システム生成AI利用環境「源内(げんない)」
導入時期・規模2025年5月以降提供開始、職員約1,200人中約950人が利用
導入前の課題国会答弁検索・法制度調査・文書作成などの業務に多大な時間を要していた
導入後の効果職員の約8割が利用、延べ6万5,000回以上の利用、約8割が業務効率化を実感

デジタル庁は2025年5月以降、全職員が利用できる生成AI利用環境「源内(げんない)」を内製開発で構築し、国会答弁検索AIや法制度調査支援AIなど行政実務を支援する複数のツールを提供しています。2025年5月から7月の3か月間で、約1,200人中約950人(全職員の約8割)が利用し、のべ6万5,000回以上の利用がありました。

システムの特徴と効果:

  • 職員の約8割(約950人)が利用し、1人当たり平均70回の利用回数を記録
  • 延べ6万5,000回以上の利用があり、業務において生成AIが定期的に活用される環境を実現
  • アンケートで約8割の職員が業務効率化を実感(「非常に寄与」21.8%、「ある程度寄与」57.3%)
  • 8月時点で20種類の行政実務用AIが利用可能(国会答弁検索AI、法制度調査支援AIなど)
  • チャット(対話型AI)、文章生成、要約、校正、画像生成、翻訳など汎用AIアプリも多数利用

「源内」は、デジタル庁が内製開発で構築した生成AI利用環境です。外部のクラウドサービスに依存せず、政府独自のAI環境を整備することで、セキュリティと利便性を両立しています。特に「国会答弁検索AI」「法制度調査支援AI」などの行政実務特化型のAIツールは、他省庁や自治体にも展開可能な汎用性を持っています。

利用状況を分析すると、3カ月間で100回以上活用した職員が150人を超える一方で、170人は5回未満の利用にとどまりました。若手職員や民間出身の職員が生成AIを積極的に活用する傾向が見られる一方で、課長級職員の約半数は利用実績がなかったという課題も明らかになっています。

デジタル庁はこの結果を踏まえ、「生成AIは行政機関に必要不可欠なデジタル技術であり、行政の効率化・省力化に有効である」と結論づけています。2023年度と2024年度には技術検証プロジェクトを実施し、「時間の削減だけでなく品質向上も狙える」「『書く』だけでなく『読む』も得意」といった知見を蓄積しています。

デジタル庁のこの取り組みは、政府全体のAI活用を加速させる起爆剤となっており、他省庁への展開も進められています。行政のデジタル化とAI活用の先進事例として、国際的にも注目されています。

3. 観光・インバウンド対応に活用した事例

この章では、AI技術を活用して訪日外国人観光客への対応を強化し、多言語での観光案内を24時間365日提供する事例を紹介します。多言語生成AI・観光案内チャットボット・GPT-4により、従来の人手による対応では実現できなかった20言語以上の同時対応が可能になっています。2023年以降、インバウンド需要の回復に伴い、多くの観光局や自治体がAI活用を加速させています。

事例1: 大阪観光局が多言語生成AIで20言語以上の観光案内を実現した事例

出典:
JTB「観光案内に多言語生成系AIチャットボットを日本初導入」(2023年9月26日)
トラベルボイス「大阪観光局、公式サイトに生成AIチャットボットを導入、20言語以上で、インバウンド需要に対応」(2023年10月4日)
デジタル田園都市国家構想「日本初!生成系AIチャットボットで、多言語おもてなし観光案内」
自治体名大阪観光局
導入システムKotozna laMondo(多言語生成系AIチャットボット)
導入時期・規模2023年10月16日導入、公式サイト「OSAKA-INFO」に実装
導入前の課題多言語対応の人的リソース不足、24時間対応の困難さ
導入後の効果日次利用数が1.5倍増加(100件未満/日→450件/日)、20言語以上に対応

大阪観光局は2023年10月16日、公式観光情報サイト「OSAKA-INFO」に日本初となる20言語以上に対応可能な生成系AIチャットボット「Kotozna laMondo」を導入しました。導入後3日間で日次利用数が100件未満から450件へと1.5倍増加し、外国人観光客の利便性が大幅に向上しました。

システムの特徴と効果:

  • 20言語以上に対応し、多様な国籍の観光客に対応可能
  • OSAKA-INFOおよび関連観光サイトの情報に基づいた自然な回答を生成
  • ウェブサイト情報の更新時に自動でコンテンツを更新し、常に最新情報を提供
  • 特定のWebサービスと連携し、天気情報などのリアルタイム情報も提供
  • 導入から3日間で日次利用数が1.5倍に増加し、複数メディアで紹介されるなど高評価を獲得

「Kotozna laMondo」は、GPT-4を活用し、独自のデータベース学習と独自のプロンプトエンジニアリング技術を組み合わせることで、事業に特化した正確で信頼性の高い情報を提供します。従来の翻訳ツールとは異なり、自然な会話形式で観光客の質問に答えられるため、ユーザー体験が大幅に向上しています。

大阪観光局は、2025年大阪・関西万博を見据え、外国人観光客への「おもてなし」向上を図っています。多言語生成AIチャットボットの導入により、観光案内所やコールセンターでの多言語問い合わせ対応の利便性向上を目指し、インバウンド需要の増加に対応しています。

この取り組みは業界内でも高い評価を受けており、導入後には複数の観光局から問い合わせが寄せられました。JTBとKotoznaが共同で開発したこのソリューションは、全国の観光局や自治体への展開も進められています。

観光案内のAI化は、人的リソースの制約を超えて24時間365日、20言語以上での対応を可能にし、観光地の競争力向上に大きく貢献しています。大阪観光局の事例は、インバウンド対応におけるAI活用のベストプラクティスとして、全国の自治体から注目されています。

4. 政策立案・ガイドライン策定に活用した事例

この章では、AI技術の適切な活用を推進するためのガイドライン策定と、それに基づく全庁的な活用事例を紹介します。AIガバナンス・セキュリティ対策・活用事例集により、職員が安全かつ効果的にAIを活用できる環境を整備しています。2023年以降、大規模自治体が率先してガイドラインを策定し、AI活用の民主化を推進しています。

事例1: 東京都が文章生成AIガイドライン策定で全職員のAI活用を推進した事例

出典:
東京都デジタルサービス局「文章生成AI利活用ガイドライン・活用事例集」
東京都「都職員の文章生成AI活用事例集を作成・公表」(2024年1月30日)
NTTドコモビジネス「文章生成AIの理想的な使用法とは?東京都がガイドラインを公開」
自治体名東京都
導入システムAzure OpenAI Service(Microsoft Azure環境)
導入時期・規模2023年8月ガイドライン策定、全局で利用開始
導入前の課題生成AIの活用に関する明確なルールやセキュリティ基準が不在
導入後の効果全職員が安全にAI活用可能、活用事例集を公表し他自治体にもノウハウ提供

東京都は2023年8月に「文章生成AI利活用ガイドライン」を策定し、都職員向けに文章生成AI(ChatGPT)の全局利用を開始しました。2024年4月にはVersion 2.0を公表し、活用事例集とともに他の自治体や民間企業にもノウハウを提供しています。これにより、全職員が安全かつ効果的にAIを活用できる環境が整備されました。

ガイドラインの特徴と効果:

  • Microsoft Azureの環境上で使用できる「Azure OpenAI Service」に限定し、セキュリティを確保
  • 入力データが学習目的で利用されず、サーバー側に保存されない「オプトアウト機能」を利用
  • 職員が守るべき4つのルールを明確化(個人情報等の入力禁止、著作権配慮、根拠確認、利用明記)
  • 2023年10月に職員アンケートを実施し、活用事例集を作成・公表
  • 「文書作成の補助」「アイディア出し」「ローコード等の生成」の3つが特に有効と判明

職員が守るべき4つのルール:

  • 【1】個人情報等、機密性の高い情報は入力しないこと
  • 【2】既存の著作物に類似する文章の生成につながるようなプロンプトを入力せず、回答を配信・公開する場合は、既存の著作物に類似しないか入念に確認すること
  • 【3】文章生成AIが生成した回答の根拠や裏付けを必ず自ら確認すること
  • 【4】文章生成AIの回答を対外的にそのまま使用する場合は、その旨を明記すること

東京都のガイドラインは、AIの利便性を最大限に活用しながら、セキュリティとコンプライアンスを両立させる具体的な指針を示しています。特に、「個人情報等の入力禁止」「著作権への配慮」「ファクトチェックの徹底」「利用の明記」という4つのルールは、他の自治体や民間企業でも参考にできる実践的な内容です。

活用事例集では、要約や文案作成といった「文書作成の補助」、考えの整理などの「アイディア出し」、マクロやVBAといった「ローコード等の生成」の3点が特に向いている用途として挙げられています。また、日本語を英語・中国語・タイ語に翻訳する方法や、Excelの数式の作り方についても事例が紹介されています。

東京都のこの取り組みは、自治体におけるAIガバナンスの先進事例として全国から注目されています。ガイドラインと活用事例集を公開することで、他の自治体が同様の取り組みを始める際の参考資料を提供し、日本全体のAI活用推進に貢献しています。

東京都デジタルサービス局の公式サイトでは、ガイドラインと活用事例集のPDFが無償で公開されており、自治体関係者や民間企業も自由に参照できます。これにより、AI活用のベストプラクティスが広く共有され、安全で効果的なAI導入が促進されています。

5. 成功に向けた推奨アプローチ

官公庁・地方自治体でのAI導入を成功させるためには、以下のアプローチが効果的です:

  • 段階的導入:小規模な実証実験から開始し、成果を確認しながら全庁展開へ拡大
  • 住民中心設計:技術導入ありきではなく、住民サービス向上を最優先とした設計
  • セキュリティ対策の徹底:個人情報保護・機密情報管理を最優先とした環境構築
  • ガイドライン整備:職員が安全にAIを活用できる明確なルールとガイドラインの策定
  • 職員教育の充実:AI活用スキル向上のための研修プログラム実施
  • 民間連携の活用:共創フロントなど民間企業の技術力を活用した協働
  • ノウハウ共有:他自治体との情報交換・事例共有による効率的な導入推進
  • 継続的な改善:PDCAサイクルによるAIモデルと運用プロセスの最適化

これらのアプローチを適切に実践することで、AI技術は行政において住民サービス向上と業務効率化の両立を実現し、持続可能な地域社会の実現に貢献できます。

6. 官公庁・地方自治体のAI導入における注意点

官公庁・地方自治体でAIを導入する際は、技術的な側面だけでなく、法的規制、個人情報保護、公平性の確保、コスト対効果など多面的な検討が必要です。本章では、実際の導入事例から得られた教訓と、成功に向けた重要な注意点を解説します。

個人情報保護とセキュリティ対策

住民の氏名、住所、マイナンバー、医療情報、納税情報など、行政では極めて機微な個人情報を扱います。AIシステムでこれらのデータを活用する際は、個人情報保護法、行政機関個人情報保護法への準拠が必須です。特に、生成AI利用時の情報漏洩リスクに細心の注意が必要です。

  • 個人情報・機密情報のAI入力禁止ルールの徹底
  • オプトアウト機能による学習データからの除外
  • データの暗号化と安全な保管体制の構築
  • アクセス権限管理と操作ログの記録

公平性とバイアス対策

AIによる自動判断が特定の属性(年齢、性別、居住地域など)に基づく差別や偏見を生まないよう、アルゴリズムの透明性と公平性の確保が求められます。特に、保育所入所選考、福祉サービス判定など、住民の権利に直接関わる業務では慎重な設計が不可欠です。

  • 学習データの多様性確保とバイアス除去
  • AIの判断プロセスの可視化・説明可能性向上
  • 人間による最終確認プロセスの確保
  • 定期的なアルゴリズム監査の実施

導入コストと予算確保

AI導入には初期投資だけでなく、継続的なシステム運用・保守、データ管理、人材育成のコストが発生します。限られた予算の中で効果を最大化するため、費用対効果を正確に測定し、段階的な導入によりリスクを最小化することが重要です。

  • 明確なKPI設定と効果測定指標の確立(業務時間削減、住民満足度向上など)
  • 実証実験による効果検証と予算要求の根拠作り
  • 長期的な運用コストの見積もりと予算確保
  • 国の補助金・交付金の活用検討

職員の理解促進と組織文化

AI導入の成否は、職員の理解と積極的な活用姿勢に大きく左右されます。「AIに仕事を奪われる」という不安感を払拭し、「AIは業務を支援するツール」という認識を組織全体で共有することが重要です。

  • 職員向け研修・勉強会の継続的実施
  • 活用事例集や月刊誌による成功事例の共有
  • AI活用コンテストなどのインセンティブ施策
  • トップダウンとボトムアップの両面からの推進

既存システムとの連携

多くの自治体では、住民記録システム、税務システム、福祉システムなど複数のレガシーシステムが稼働しています。AIシステムとこれらの既存システムを適切に連携させることが、効果的な活用の鍵となります。

  • 既存システムとの連携設計と動作検証
  • データ形式の統一とマスターデータ管理
  • 段階的移行計画の策定
  • システム障害時のバックアップ・復旧計画

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私たちは「人を結び、テクノロジーで未来を拓く」をミッションに掲げ、単なる技術提供にとどまらず、お客様の事業成長を本気で考えた伴走型の開発支援を行っています。官公庁・地方自治体特有の課題—住民サービスの向上、業務効率化、セキュリティ確保、既存システムとの連携—に対して、AI技術を活用した実践的なシステムを迅速に構築します。

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